リウーを待ちながら
」のレビュー

リウーを待ちながら

朱戸アオ

いつか来るかもしれない日のように

ネタバレ
2018年10月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ パンデミック、と言う言葉は度々耳にするが、現代日本で起きたらどうなるかはまだ実感出来ていない。
この漫画は、感染力が強く発症すれば早期に死に至るが完治の手段が見つかっていない病が日本のある都市で発生した場合の「どうなるか」を描いており、パンデミックが起きた日を生々しく予感させる。

手を尽くしても及ばず人が死んでいく中で、都市と感染者の封じ込めでかろうじて感染による死者を増やさないことしか出来ない医師たちの苦悩。
しかし民衆は感染に怯え、可能性のある者を迫害し始める。
ようやく光明が見え、パンデミックの収束が見え始めたところで、尽力していた研究者が感染してしまう無情。
手を尽くしても最後は祈ることしか出来ない。
そして祈りは届かない。
平和を取り戻した街には、もう戻らない人の痕跡が残り、やがて消えていく。

ありがちな表現になるが、人間の無力さ、非情さ、身勝手さ、弱さ、しかし立ち向かい生き残る強さ。そんなものが登場人物を通して描かれている。
実写ドラマや映画にすると面白くなりそうだ。
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