このレビューはネタバレを含みます▼
名門北條家の子息・玲一郎はソリの合わない学友、氷室の口車に乗せられて不本意ながら一夜を共にする。それから6年、家の事情とまたも氷室の策略により使用人として長い船旅に同行することに。家族を庇って気に入らない男の言いなりに、という王道展開。時代は大正、貴族制度など詳しくない私でも特に引っかかりなく読めました。使用人といってもタイトル通りの愛人待遇なので船上の生活ぶりは優雅で華やか。明るい使用人の晋吾がいい緩衝材になって、ギスギスした二人のガス抜きをしてくれてます。原作ではもっといろいろ起こるのでしょうが、騒動も二人のすれ違いも無理がなく、綺麗にまとまってます(一華ちゃんの手紙はちょっと無理やりだったけど)。でも最後はかなり駆け足で、せめてあと数ページ欲しかった!そもそも氷室パートがないので、だいたい分かるけど学生時代のことも含めて氷室の口からちゃんと聞きたかったです。最初から氷室の気持ちがだだ漏れだったのがもったいないと思っていたけど、最後まで読むとこのくらいじゃないと氷室の気持ちは分からなかったので、作者さんいろいろ工夫されたんだなと思いました。