錬金術師と異端審問官はあいいれない
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錬金術師と異端審問官はあいいれない

藍川竜樹/天路ゆうつづ

対立する二人

ネタバレ
2018年10月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 悪徳貴族を裁くためには白でも黒とする平民出のヒーローと、どこまでも真実を追求しようとする貴族令嬢のヒロイン。最初は相容れず対立します。と言ってもヒーローが邪魔をする貴族出のヒロインを毛嫌いしている感じですね。ヒロインは錬金術馬鹿で人の顔を見れないほどの人見知り。最初はそんな二人の掛け合い、というかちょっと変わったヒロインにいちいちつっこむヒーローが面白かった。そして自分と同じくヒロインもまた重い過去を持ち、それゆえに真実を追求することに固執するのだということを知り、ヒーローの態度は軟化します。どちらも、不当な嫌疑をかけられ大切な人を失っています。特にヒロインの過去は凄絶で、人に怯え人の顔が見れないことに心の傷の深さを感じる。そんな二人が事件を解決する為に徐々に歩み寄りますが、惹かれ合いながらも互いの信念を曲げないことには好感を持てました。ただ最初の二人の関係が面白かったので、ヒロインが恋する女の子みたいに変わっていくのが少々残念。長編というより、短編が二つ入ってるような話でした。最初は二人が担当することになった事件の話で、二つ目はヒロインの母親が亡くなった過去の事件による嫌疑で父親が捕まり、それを救うためにヒロインとヒーローが過去の事件を調べる話です。二人の距離は近付きますが、ひっついて終わるわけではないので、その後が気になる。続編出るのかなぁ。
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