憂鬱な朝
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憂鬱な朝

日高ショーコ

完結するまで一気読みできて幸せ

ネタバレ
2018年11月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 8巻のあとがきによるとラストは初めから決まっていたとか。桂木が思った以上に暁人さまを好きになりすぎてベッドから出て来なくて困ったというのには笑いました。暁人さまと2年間離ればなれになる渡航の日の朝が来なければいいのに。「憂鬱な朝」というタイトルは桂木の(貴重な)本音(の一つ)を表していたんですね。1話の時にはまったく想像していなかったけれど、完結した今となってはそうあることが当然だと思えるくらい密度の濃ゆい暁人さまと桂木の人生を観させてもらいました。
他の方のレビューでも、まるで一本の映画を観たかのようと表現されていましたが、私としては、例えば女中頭のきくや執事の田中の風貌が巻数を重ねるたびに年老いていく様子を描かれていたことや、暁人さまの伸びた髪型で時間の経過を感じることができるよう描かれていたことが、漫画という世界にとどまらず、時間の流れを体感するような作品になったんだとおもいます。
更には、作品が完結するまで長期にわたる場合、絵柄が変わってしまって凄く残念な思いをしたことも多々あるのですが、連載当初の10年前の絵との変化が殆どないのも素晴らしいです。緻密なストーリーと魅力的なキャラクター、そこに安定した画力が加わって読者を憂鬱な朝の世界にどっぷりと惹き付けて止まなかったんだと思ってます。
ふと思ったけど、作中の時間も1~8巻ではちょうど10年くらいの月日が経っているのではないかな?(暁人さまが東京の久世家に来たときの桂木21歳~暁人さま留学直前の桂木29歳~2年後に暁人さま帰国なら桂木31歳?)もし先生が連載期間と作中の時間経過を合わせていたのだとしたら鳥肌モノですね!
憂鬱な朝、最終巻が出てからもう何度も読み返しています。これからもきっと読み返すでしょう。また暁人さまと桂木に会えたら嬉しいです。
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