じんわりくる。





2018年11月24日
やはり文章力があって話の筋もしっかりしてる実力のある作者さんです(上からみたいですみません…)。『恋の傷あと』が良かったので、代表作っぽい本作も読もうと思ってはいたんですが、10年以上付き合ってる恋人のしっとりした話に食指が動かず後回しにしてたところ、新作の『運命の向こう側』が良かったんで、やっと読みました。…良かった!もっと早く読んどきゃ良かったぜ、と思いつつ、でも続巻出たあとで良かったかも。2冊読むと深みが増します。1巻だけだと、割りとBLによくあるストーリー展開ともいえ、いや、それでも十分安西先生の力が存分に発揮されてはいるんですけど、2巻があることで、穂木の負い目や罪悪感、不安がくどいようでいて、そりゃあ簡単には乗り越えられないよねってとこが現実的で、ご都合展開ではないリアリティがあって良かったです。感情移入もしやすかった。『好きで、好きで』→『好きで、好きで』がメインストーリーですが、『ずっと好きで』も時間的に繋がっていて、メインストーリーの続き。『桜散るころ』は短編で、二人が付き合ったばっかりの、初エッチに至るまで。物理的に繋がるところまでの記述はないのが残念ですが、精神的に繋がる瞬間が読めて嬉しい。『恋みたいな、愛みたいな』→『恋みたいな、愛みたいな』があらすじにあるメインストーリーで、同居開始から9か月後。『相思相愛』は同居開始から5年後のお話。タイトル通りのストーリーです(笑)。『JAST MARRIED』は短編で、『相思相愛』からさらに約2年後の話。二人とも三十半ばになりました(笑)なんと志方視点。志方らしーな、いや二人らしいな、という話です。いずれのメインストーリーも、付き合ってる恋人の話なので、すれ違いが生じるのは避けられないわけですが、一貫して二人の想いがぶれないので安心して読めます。安心して読めるけど共感したりもできるからちゃんと引き込まれる。そして読後感がすごく良いです。読後感は『運命の向こう側』に似てるかな。ジェットコースターをご希望の方にはお薦めしませんが、じんわりしたい方はぜひ。

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