潮風が香るような





2018年11月28日
作者様の作風とか絵柄が好きです。表紙の絵からも伝わってくるように、舞台は海沿いにあるどこかの街。しみじみとしていてゆっくり時間がながれているようなプロローグです。日本のどこにでもある風景のようでいて、読後にはファンタジーを読んだような気分になります。上田先生も、後書きに初めはファンタジーにしようと思っていたと書かれていますね。何でも直してしまう魔法の手を持つハレさんが廃品のように捨てられた桜次郎の心を癒す、淡々と物語は進んでいくのですが、この桜次郎を捨てた父親が再び姿を現し、そこがこのお話の山場となります。本当にこの父親が胸糞なんですが、ハレさんの桜次郎を思う気持ちが爆発しますので、2人をさらに近付けたという点では必要な事だったのかな…。でも、必要ないからとか、動かなくなったから子供を捨てるとは。ありえないところがファンタジーなのかなと思いました。廃品回収屋さんに出さないだけで、現実の育児放棄の方がもっと残酷でシビアですよね。捨てられそうになった眠る男の子、幸せになってほしいです。桜次郎のように。

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プッカ さん
(女性/50代) 総レビュー数:307件