エンブリヲン・ロード
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エンブリヲン・ロード

やまむらはじめ

俊英やまむらはじめ先生の、傑作冒険浪漫!

2019年2月8日
ワンアイデアのSFファンタジー設定の上に、事細やかな人間心理描写を乗っける。
それが、やまむらはじめ作品の基本構造です。
この人、昔っからそんな感じの作品ばかりを描き続けています。こういってはナンですが、金太郎飴のように代わり映えがしないです。
しかし、一旦その味が気に入ってしまえば、もう病み付きになってしまい、夢中になってやまむらはじめ作品を求めてしまう。
とある種類の人間の心を捕らえて離さない、中毒性のある魅力が、やまむらはじめ作品にはあるのです。

そんな長期中毒者である私から見て、この『エンブリヲン・ロード』は、現段階でのやまむらはじめ先生の、完全無欠の最高傑作です。

いかにも意識高い系のSFにありがちなセフィロトだとか何とかいう意味不明の固有名詞の事なんか、放っておいても何の問題も無いです。それらは、感情発露を視覚化するための只のギミックです。
そんなものより、キャラクターの表情や、感情を普遍的に伝えるセリフに注目しなさい。
的確な演出のお陰で読者にも手に取るように伝わる、登場人物達の感情が織り成すジェットコースタードラマに酔いしれて、極上の漫画体験が味わえるでしょう。
基本設定やストーリーがよくわからなくても、登場人物の感情さえ追っかけていれば、もうそれだけで十二分に面白い、読む手が止まらない。
嗚呼、何もかもが、完璧だ.........。
当時、『神様ドォルズ』をアニメ化するよりも、こっちの方が先だろう!と、憤慨したものです。

そんな素晴らしい漫画作品が、こうして電子書籍になり、皆さんに広く伝わりやすくなったことは、全くもって喜ばしいことです。やったネッ☆
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