肝心な所をもう少し丁寧に描いてほしかった

高評価ですが、個人的には微妙というか、魅せ方がイマイチで話についていくのがやっと。そんな状態で感情移入が出来ないまま物語を眺めているような印象の作品でした。

冒頭からヤりまくっていて「え？！」となりましたが、まぁ過去に遡って物語が分かるように描いてくれるはず…そういう手法なんだろう…と思って読み続けましたが、過去話はあったものの結局1番大事な"ハジメテ"のシーンは無いまま。
そのシーンこそ感情移入できるキッカケとなるポイントなのに…と個人的にはとてもガッカリでした。

エロ作品で無いのならそういうシーンが飛ばされても何も思いませんが、これだけエロをメインとしてそういうシーンを扱うのなら、現在のヤりまくりよりはやはり、こういう関係になったキッカケとなる大事なシーンを読者に分かりやすく丁寧に描いて欲しかったですね。

特に、主人公がその気になったらで良いと言われていたわけで、じゃあ初めて行為を行った時はどういう流れでそうなったんだ…？と気になって仕方がありません。
出勤日初日にそういった行為も業務のうちと宣言され、現実的に警察に突き出したくなるような始まりなわけですが、強要されたわけでもなく、こんなイケメンならアリだわ！という流れでこういう関係になったのだろうか……と想像することしか私にはできなく、自身の想像力でストーリーを補完するとどうしても萎えてしまうので、やはりちゃんとしたエピソードでしっかりと描いて欲しかった部分です。本当に残念。

佐々木先生の、繊細で、バレたら主人公に嫌われるとか思いつつ主人公を求めてしまう所とか、主人公の、佐々木先生を大好きな純粋な気持ちが彼を救うシナリオ自体はとても良かったと思います。
逆にシナリオが良かっただけにエロが悪目立ちしていたようにさえ感じました。

別にエロくても良いのですが、関係を持つのが本当に早すぎで、読者的にはこの2人がいつもエッチしてるのが当たり前みたいな印象を最初から受けていたせいで、心を通わせた時にエッチしていても特に感動が無かったのが残念です。
これだけすれ違いがあったりだとか、中身のあるシナリオだったのですから、もうちょっとエロ要素を読者が切なくなるようなスパイスとして活かせたのではないか、と思いました。

もうとっくに最初から両想いの2人ですが、佐々木先生が純文学で再スタートを切るまで物語は続くのでしょうかね。