セックス・アンド・ワールズエンド【単行本版(電子限定描き下ろし付)】
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セックス・アンド・ワールズエンド【単行本版(電子限定描き下ろし付)】

成瀬一草

しばらく浸ります‥

ネタバレ
2019年2月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読む前と読後の印象が良い意味で違いました。最初はAV男優で借金取りから追われてる男(泉)とヒゲの暴力的で男女見境なくヤル闇金融業者(マサオ)とロクな人間しかいね〜な、と思いながら読み進めていましたが、間に入ってくる泉の悲惨だった子供時代だの、それを黙って察する親から捨てられてお祖父さんに育てられてたマサオの似た者同士というか、徐々に泉を可愛いと思うようになっていく描写と同じく何やかやと助けてくれるマサオの優しさに絆され甘えていく泉が、重くて暗いお話をふっと和らげてくれてます。
泉の故郷、地の果て北海道までやって来て荒涼とした子供の頃の原風景を眺めるシーンと空き地となった元の家の間取りをマサオに教えるシーンは泉の失ってしまった過去を考えるととても辛い気持ちになりました。
東京には戻れない二人がちゃんとした職業に就いて、日の当たる真っ当な生活をしていけるように願わずにはいられません。
一緒にいてくれる愛する者の為にも。
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