このレビューはネタバレを含みます▼
どこか重苦しい独特の世界観。グロい描写や胸の痛む場面はありますが、ストーリーに引き込まれて一気に読み進めてしまいました。最初はアンドロイドのようだった小辰が、キヨコの強さと純粋さに惹かれて次第に人間らしくなってくる姿が印象的でした。中田さんは最初は怖かったけれど、本当は優しい人だったんですね。壮絶な生い立ちのために、そう生きざるをえなかったのが悲しかったです。番先生、母ちゃん、その他の登場人物もみな人間くさくて良いです。狂気に満ちた荒磯兄妹でさえ、根底に純粋さがあるため憎めなかった。ラストは希望の見える終わり方で、読後感は良かったです。キヨコの作る飯がとても美味しそうで、「食べること=生きること」という事を実感させてくれます。