本好きの下剋上
」のレビュー

本好きの下剋上

香月美夜/椎名優

脳内補完必須です。

2019年3月12日
文章力、日本語力、表現力の低さが目につくため、お話に入り込むことやスムーズに読むことが難しいですね。“中高生の女の子が送るメール” を彷彿とさせる説明不足感は否めません。素人の書き手さんにありがちな、作者の頭の中で完了した展開を描写し忘れる、という事象が度々起こっています。そのため、前触れもなく登場する設定や、突拍子のない台詞の、意味やバックボーンを推察する能力が読み手に求められます。とはいえ奇怪な世界観と言うわけでは決してありませんので、漫画やライトノベルに慣れた現代の日本人の想像力を持ってすれば、よほど生真面目で石頭でもない限り脳内補完をしてゆくことで読み進めることは可能でしょう。
また、文章力や日本語力が低いお陰で、小学生でも理解できるレベルの表現に留まっていますので、活字が苦手な方でも入りやすいのではないでしょうか。もちろん、先述どおりの想像力は必要ですが。
良い部分を挙げるとするならば、文章全体を登場人物目線で書くことにより、本やその他の物の作り方等について深い知識を必要としない……と申しますか、書き手の知識の浅さが露呈せずに済んでいる部分でしょうか。主人公が知らないのだから仕方がない、主人公が勘違いしているのだから仕方がない、書き手は当然知った上で敢えて間違って見せているのだろう、と飲み込むことができますから。これを上手いやり方と言わずになんと言えましょう。
作者さまにはより一層の学び、努力、そして推敲力を望みます。
いいねしたユーザ17人
レビューをシェアしよう!