このレビューはネタバレを含みます▼
作者さん買いです。奏子(かなこ)が勤める総合商社に、メインバンクから出向してきたのはライバル同士だった幼馴染。もうそれだけでちょっと面倒くさい人間関係ですが、突然姿を消し、連絡も取れずにいた神木と再会して思い出すのは苦くて悔しい思い出ばかり。そして10年後に現れた元ライバルは自分よりも上のポストに付き、しかも奏子は彼の職場との兼務を命じられます。真の目的は神木から情報を聞き出すこと。知らず知らずのうちに会社の闘争に巻き込まれていく奏子。産業スパイのような展開にワクワクでした。話が複雑に絡み合い、誰が味方で、誰が敵なのか。神木さえも敵か味方かわからず、ハラハラドキドキでした。それに二人の恋愛事情や過去も加わって、好きなのか、好きじゃないのか、これも罠のうちなのかと、運命に翻弄される二人から目が離せません!終盤は、冷静で完璧なエリートが垣間見せる切ない思いに胸キュンでした。何度も二人は近付くのに別れる道を選択してきた神木の胸のうちを思うと切ないです。今までバッドエンドのストーリーに出会ったことはなかったけれど、今回はさすがにダメかもと思いましたが、地元を訪れ、同級生の茂内から奏子が知らなかった事実が分かるに従い、頑張れと応援したくなりました。最後は奏子の頑張りと茂内の作戦で見事ハッピーエンドになり、本当に良かった!!作戦もまた思春期を一緒に過ごした間柄だからこその内容で、ここでの仲間内の空気も感じることが出来てほっこりでした。またまた読み応えある作品で、絵も素敵で大満足です。