神様も知らない
」のレビュー

神様も知らない

高遠琉加

これ以外の結末はない

ネタバレ
2019年4月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ ストーリーにのめり込んだ割には運命に流されるまま罪を重ねていく2人に共感できない部分もありました。本当に仕方がなかった訳でも誰も助けてくれない訳でもないと思います。佐季にも司にも運命を切り開いていく強さみたいなものがあれば、全く違う道を歩く事もできたのではと思います。「神様なんていないし例えいたとしても何もしてくれないし、できない」と言った司の生き方が悲しくて読むのが辛いほどでした。2人の間にあるものは執着や依存だったのかもしれませんが、"ラブレター"に遺された佐季の最期の想いに泣けました。慧介という光を見つけ闇から抜け出そうとする司と闇に飲み込まれたまま司にしがみ付く佐季。佐季を本当の意味で救えるのは流でしかなく、流の涙を温かいと感じて死ねた事が救いでもありました。共感しきれなかったせいか人物像がどこか遠いままでしたが、3巻を通して最初から最後までとにかく苦しかった。佐季が死に、司の中に消えない想いを残したままの結末は切ないですが、でもこのラストでいいのだと思います。
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