長閑の庭
」のレビュー

長閑の庭

アキヤマ香

読み終わってしまうのが惜しいような。

ネタバレ
2019年5月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 優しく、いじらしく、文学的で、美しい物語でした。
人と交わるのが不得手な主人公が、はじめて感じた胸の高鳴り。時に振り回され、闇に足をとられながらも、その気持ちに懸命に向き合うさまが愛おしいです。想いを向けられる教授もまた、ひたすら真面目で真摯。お互い気持ちは向かい合っているはずなのにその進捗ったらもう、一進一退でなんともだもだしいことか…でもそれがいい。
最終巻、親子どころか祖父と孫ほどに歳離れているからこその、大きな試練を突きつけられるふたり。その大きな問題から逃げることなく、けれどあくまでも優しく描き終えてくださった作家さんに、泣きながら拍手を贈りました。
最後に載っている、教授の助手の田中さん視点の短い話がまた、良い。教授と田中さんの間にも揺るぎない絆があって、ちょっと女子には入り込めない男同士の師弟愛がこれまた美しかったです。あっ、なにこれ、この三人てば相思相愛の正三角関係やん…尊い…
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