欺かれてばかり、という思いです。





2019年7月17日
高い評価を得ている本書に興味を引かれて今読み終えたが、正直私には、敵味方、善悪、正義大義と野心欲望のどれもが、常に掌を返すように、随所に読者を翻弄させる仕掛けが仕組まれたこのストーリーを、気に入ることはできなかった。
また、物理的にも心理的にも遠い関係を、近づかせたり遠ざけたりも、簡単にやり過ぎている。それは、決定的に、お話の世界の中であるべき、その閉じた世界のリアルを持たなくなっている。
読み手に伝える「語り」を根こそぎ役割放棄した、根無し草のような、骨無しのような、ストーリーが自らの存在意義を否定するかの、物語構造の否定と、私は感じた。
いかなる言葉で伝えても、それは、結局、さんざん欺かれた積み重ねの後、信じてくれるな、と言われている様なもの。最後まで、物語要素の醍醐味を感じ取れなかった。
イラストはTLにありがちな絵で、少しは裏切ってくれた方が、この場合、寧ろ良かったのに。
私は、能力を感じている先生方の作品をお金を払って読んでいるつもりなので、星一つとか二つとかだけの評価をこれまでしたことがない。敬意の表れとして、今後も付けたりするつもりはない。
ただ、他に付けてきた星3つの評価の多数の作品と相対比較で、幅がある。本作の時間の跨ぎ方や省き方、遡り方、また、人間関係の表し方、繋ぎ方について、私は、他の三星と同等の評価を付けることが出来ない。星二つを付けることは憚られるが、限りなく2つ星に近い感覚で捉えている。
全てのイベントの間に有機性が不足しており、技法とするには独善性が強く、読み手をないがしろにしているとさえ感じる。
読者を裏切ることではアクロイド殺しのようなものに批判的な訳ではない。悪人よろしく振る舞って実は善人などの造りにどうこう言っているのではない。
幾重にも幾重にも何人も何回も、という無節操な欺き方は、巨大なフィクションの枠内で読み物を展開させるという趣向に反している、と私には感じ取れたのだ。
また、物理的にも心理的にも遠い関係を、近づかせたり遠ざけたりも、簡単にやり過ぎている。それは、決定的に、お話の世界の中であるべき、その閉じた世界のリアルを持たなくなっている。
読み手に伝える「語り」を根こそぎ役割放棄した、根無し草のような、骨無しのような、ストーリーが自らの存在意義を否定するかの、物語構造の否定と、私は感じた。
いかなる言葉で伝えても、それは、結局、さんざん欺かれた積み重ねの後、信じてくれるな、と言われている様なもの。最後まで、物語要素の醍醐味を感じ取れなかった。
イラストはTLにありがちな絵で、少しは裏切ってくれた方が、この場合、寧ろ良かったのに。
私は、能力を感じている先生方の作品をお金を払って読んでいるつもりなので、星一つとか二つとかだけの評価をこれまでしたことがない。敬意の表れとして、今後も付けたりするつもりはない。
ただ、他に付けてきた星3つの評価の多数の作品と相対比較で、幅がある。本作の時間の跨ぎ方や省き方、遡り方、また、人間関係の表し方、繋ぎ方について、私は、他の三星と同等の評価を付けることが出来ない。星二つを付けることは憚られるが、限りなく2つ星に近い感覚で捉えている。
全てのイベントの間に有機性が不足しており、技法とするには独善性が強く、読み手をないがしろにしているとさえ感じる。
読者を裏切ることではアクロイド殺しのようなものに批判的な訳ではない。悪人よろしく振る舞って実は善人などの造りにどうこう言っているのではない。
幾重にも幾重にも何人も何回も、という無節操な欺き方は、巨大なフィクションの枠内で読み物を展開させるという趣向に反している、と私には感じ取れたのだ。

いいねしたユーザ2人
-
romance2 さん
(女性/60代~) 総レビュー数:1852件
-
ぼた餅 さん
(女性/-) 総レビュー数:3243件