筋立てが緻密で、さまざまな歴史や、新興宗教や、宗教が教えのうらで富と権力を独占しようとしてきたいろいろなこぼれ話をとても面白く組み込んでいて、悲壮感あふれるファンタジーだから、主人公の二人はまじめなキャラにする必要性があるのだとよく分かりました。
スリリングな展開と暗澹たる宿命のようなものに読んでいて疲れますが、第7章でようやくちゃんと読んできた苦労が報われます。背負わされてきたもの、旗印にされる重荷やら、それに打ちのめされる日々を超えて、潔く自立心を取り戻し覚悟していくシーンはほんとうに面白かった。ここまで規模を大きくして、万を超えるような軍隊を登場させた聖戦のシーンは、映像のように迫力のある描かれかたで、夢中になって読みました。ただ、最後に仕留めるのは、自然現象だったのが、ここまでスケールを大きくしてしまうともはやそれに頼るしかないのかな・・と思いました。日本の神風という戦争逸話を思い出しました。