後宮を飛び出したとある側室の話
」のレビュー

後宮を飛び出したとある側室の話

はなのみやこ/香坂あきほ

楽しめました

2019年7月20日
全526ページ。イラスト有り。中世風王宮ファンタジーです。タイトルや作品説明にあるように後宮の側室である受が自ら外に出ていった話ですが出ていくまでの部分で100ページ位を使い丁寧に描写されます。出ていくに至る苦悩をする前、それこそ初夜の幸せなあたりまでを広げて書けばよくある王道王宮BLラノベができてしまうと思います。そのためこの作品はハピエンのその先を見た、といった感じがしました。レビューでの高評価と長編に期待しすぎた部分があり思っていた程ははまりませんでしたが、フラットな状態で読めば楽しく読めたと思います。攻が二人出てきますが、作者様の個々のキャラクターに対する親心なのか、結ばれない方の攻に対する心情描写や補正が多く感じ、悪いところがないからこそ読み手としてはどうしてもそちらが魅力的に見えてしまう気がします。結ばれる方の攻は、結ばれる一点が他より特出して幸せなためキャラクター自体の魅力を大きく感じる掘り下げはあまり感じませんでした。形なりともキャラクター全員が幸せになるための弊害といえるでしょうか。それが切ない雰囲気をまとうこの作品の独特の良さでもあり、微妙な点でもあるように感じました。受の転生設定は作品説明に記載する程の意味はなく話に影響はほとんどないためご注意ください。イラストは表紙の印象通り綺麗でした。個人的に評価は☆4.5くらいで、高レビューが多いためとりあえず☆4です。
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