このレビューはネタバレを含みます▼
スタイルの良さに目を奪われるカッコいい絵柄にもかかわらずコメディの呼吸が絶妙でお気に入りの作家ですが、新作は苦手なヤクザものということでそっちか…確かにそちら方面の色気イケテマスヨネと思いつつ読みました。
表紙の美人・百舌ちゃんは見た目通りの薄幸のイケイケ現代ヤクザですが、彼氏の将ちゃんの組はもう多分フィクションにしかいない義理人情系の小さな組で元々小競り合いを繰り返していたふたつが盃を交わしたことから話は始まります。
この将ちゃんがなんとも頼れる攻で、百舌ちゃんの薄暗さを何度も上書きして笑顔にさせてくれるので安心して読み進められます。
キャラクターがお持ちの愛嬌、可愛らしさはそのままにヤクザものらしい冷ややかさをさっくり挟んできますが湿っぽくはならず、むしろそのままの重さを伝えてくるので読まされてしまいます。
最後で百舌の故郷へゆくところまで描かれているのがなにより読み手にとっては救われる気持ちになり、本当にいい作家だなと思いました。