このレビューはネタバレを含みます▼
昔ハマったセカキラ!秋吉家兄弟達のそれぞれの恋の話が元々あった事は知っていましたが、とても古い作品の様だし、短編的で話はあっさりしてそうだなと読んでいませんでした。
が!!キャンペーンで読み出したら、やっぱり秋吉家は懐かしく楽しい。日高先生は私の中では最近の作品よりセカキラが1番輝いていて、リアルとロマンが畝りをあげて読者のリアルを巻き込まれていくような勢いを感じるのです。
序盤は、ほのぼのとした仄かな恋心や初恋の甘酸っぱさを表現した、日高先生の若さと甘酸っぱさを感じました。
それが徐々に、セカキラに通じる程の、読者の胸を強く揺さぶるような畝りを伴う勢いを持っていきます。
千鶴の「詩を聴かせて」は聞きしに勝る程の作品で、とても深く胸に熱く響くものがある、美しいストーリーでした。
詩がとても綺麗で優しく、そして運命的な架け橋となります。そこがとても良かった!
セカキラ時代の荒れ始めた千鶴、そこからあの落ち着いた千鶴になった事へ、御都合主義と思わずに読める自信が実はなかったのです。
しかし読み終わった時には、何度目かの涙をぬぐって、再会時のシルエットを感慨深く見つめている自分が居ました。
そして、その時にはインテリ芸術家風の落ち着いた千鶴が、しっくりと感じられ、その重みを受け止めることができました。
総じて、日高先生のこの時代の作品は本当に素晴らしい!
少し背伸びをした様な甘酸っぱさ、ストーリー自体にも文章に対する美的感覚や彩りを感じられ、切なさと美しさをより表現しようとされている箇所がまた瑞々しい。
勿論今は今で別の勢いがありますけれど。
今は、かつての日高作品キャラ達が絡んだストーリが多く、ファンとしては嬉しいですが、キラキラしたキャラ設定が強いです。
初期の作品は画力やその他にも初々しさを感じるものの、それを上回るほどに素晴らしい。
等身大に少しだけ背伸びをしている初々しい美しさ。
それこそ揺れるコスモスみたいな、雲を切って凛と寄り添う折鶴みたいな。
キラキラというより、繊細。この繊細さが、卓越した絵力や設定によるキラキラをはるかに上回るほどに美しく胸に響くのです。。