悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました
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悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました

永瀬さらさ/紫真依

最初は良かったが……

ネタバレ
2019年8月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初はとても楽しく読んでいました。敵である正ヒロインがいい味出してます。

でも、後半に連れて、ヒロインが自分から求婚したはずの相手を地味に拒否したりかと思えば求愛してみたり、その揺れに違和感を覚えてしまいます。あっさりくっついてしまっては続かないのもわかるし、この行き違いがなければ物語にならないのも確かなのですが、妙に説得力に欠けてくる。元々ネット連載していた小説あるあるではありますが。

また、だんだん描写が雑になってくるのが見えてしまい、それが気になります。元々、乙女ゲー世界転生ということは、ゲームでは簡単に描写できるけれど小説では説明のいる能力があったりするわけですが、そのあたりがとても足りないように感じます。一巻や二巻にそう感じるシーンはほぼ皆無なことから、なんとなーく、巻を追うにつれてこう、テンションだけで書き殴ってそのまま脱稿してんじゃないか……?と邪推してしまうほど、文章のレベルが下がっていきます。
一巻二巻が面白過ぎたので超期待して全巻一気買いして休日にがっつり読んでいたのですが、実は五巻のあたりであまりに文章がふわふわ雑になってきて耐えられず一度挫折しています。何が起きてるかわからないけどなんかかっこいいことがおきてる風な小説、そういう印象に様変わりしてしまって。その後、時間をおいて改めて頑張って読破しました。

細かく言えば、主語を省く技法を過剰に多用されていますね。そのような技法は、本当に重要なシーンでこそ輝くものだと思うのですが、ちょっとしたかっこいいシーンなどでも多用されると単純にわかりにくさに繋がります。一番わかりにくかったのは、とある人物が転移して消えたシーン。数ページ何度も読み返しましたが、誰が消えたのか結局わかりませんでした。
また、登場人物が多いため、一堂に会している場合はある程度地の文で「誰のセリフなのか」を教えてほしい。セリフだらけではなく。ヒロイン勢は口調に特徴があり、喋れば一発でわかるぶん、名ありモブと言えばいいのか、メインヒロインのお助けしもべたちのセリフが最後の方でごっちゃごっちゃしてきます。意見も彼らは大体一致してるので……まぁ、誰が言ってても同じ、って言うんならそれはそれでよいのですけど、ちょっともやもやしてしまいました。

そのためこの評価ですが、序盤は本当に面白いです。一巻は特にめちゃくちゃオススメしたい。
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