NGライフ
」のレビュー

NGライフ

草凪みずほ

実は練り込まれている作品!!

ネタバレ
2019年8月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 一般的によくある前世主体の前世モノや、歴史ファンタジーではなく、
人の魂や想いを切り口に描いている緩さと感動のある珍しい作品だと思います。

とってもコメディタッチですが、実は結構深く練り込まれている。しかし掴めそうになるとスッとギャグに躱されてしまう。
読み進めていくと主人公のように前世と現世に振り回され、翻弄されている自分に気づく。
ギャグやBL風味のフリ、実は本気。魂や人間性というもの、友情なり愛情なりの想いというものについて。

ドタバタコメディを見ながら徐々に、主人公と一緒にセレナやロレイウスの想いを感じて、物語を身近に感じてきます。
2人ともとてもシリクスが好きで本当に良い奴だと何度も何度も思いながら生きてたのかなと。
恋人としても幸せだったけど、来世はシリクスやロレイウスと対等に親友になれる男の人生を生きてみたい、とか。
友情は最高なのを満喫したし、コイツなら来世は女目線で関わるのも良いかも、とか。
そう感じたのは、芹沢さんのお見舞いにいった際に、ユウマがケイダイの良さに救われたところを読んだ時です。
想い人の芹沢さんが好きになるのも解ると、ユウマもケイダイの良さを実感してしまったというシーンで、
性別が異性なら好きになるだろうという前世とのフュージョンを楽しむシーン。
更に、同性同士でコイツなら自分も異性なら好きになるよなって認める気持ち。が表現されています。
おそらく前世のロレイウスも感じてたんだろうと思う訳です。
ところどころに前世のロレイウスとシリクスの友情エピソードが出てくるのですが、
側で見ていたセレナがその友情を羨ましく思う気持ちがポゥッと胸に沸くのです。

結局、シリクスは火山で死ぬ時にセレナに、セレナへの求婚の際にはロレイウスに、その命を懸けることで死ぬなと言われていた事になりますね。
そして、来世は別の方向からも親密になりたいと思える程、シリクスって素敵な人だったんですね。
若くして亡くなったからという切ない側面もあるけれど、人生の最期にそう思える人だったという。

読み始めは違和感ある前世のポンペイシーンも、生き生きと感じるようになりますよ!
ロレイウスとの記憶も単に涙モノでなく笑えるのが人柄を表していますね。

途中までしか読めてませんが、ここまで感情移入して深読みできるとは意外な作品です!
ぜひ、読んでみることをオススメします。
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