オバサンバンドのお話





2019年8月25日
本作は作品タイトルや各章のタイトルにイギリスのハードロックバンドである『ディープ・パープル』の楽曲名が用いられています。そして、平均年齢40歳オーバーの4人のオバサンたちがある時バンドを組み、作品タイトルにもなっている『スモーク・オン・ザ・ウォーター』のコピーをするというお話。楽器経験があるメンバーも居るとはいえ、ほぼ初心者の集まり。独身のメンバーも居れば、結婚していて子どもが居るメンバーも居る。自分が彼女らと同じ立場に居たとしたら、40歳を過ぎて一から楽器の練習に取り組んで、日時の都合をつけてメンバー皆で集まって…と出来るかどうか正直まったく自信はありませんが、それでもどうしてもやりたい事があるなら、どうしても成し遂げたい事があるなら、何歳からでも挑戦してみればいいし、失敗を恐れず、自分に恥じないレベルまで出来る事をただ一生懸命やればいいのだと、このお話のバンドメンバーは教えてくれています。バンドに限らず、今何か始めてみたい事があるけれども、なかなか一歩踏み出せないでいるなら、それが本当に自分のやりたい事なのかと自分自身に問い掛けつつ、この小説を一度じっくり読んでみてほしいなと思います。ある程度年齢や経験を重ねてくると、「やるだけ無駄」とか「何の意味があるのか」とか、そういった効率性なんかを判断や行動の基準にしてしまいがちですが、シンプルにやりたい事はやりたいようにやればいいし、気が進まない事もやってみれば案外ハマったりするかもしれないし、何事においても“考えるよりまず行動する”のが結局一番良いのかもしれないなと、この小説を読んで改めて思いました。

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サシャ さん
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