はれもの水風船
」のレビュー

はれもの水風船

赤星ジェイク

タイトルが秀逸

2019年8月27日
義理の弟・沿(そう)に対して、よこしまな願望を抱くようになってしまった要。性的いたずらを受けていた沿をそういう目で見てしまう罪悪感や、仲が良く可愛がってきた弟に対して欲情してしまう苦しさ。「沿にとって良い兄でありたい」という願いと、日に日に募る欲望の間で悩む要。はちきれそうな欲求を必死に抑えつつも、いつ爆発してもおかしくないように見える彼の姿は、可哀想で切なくなります。ですが、欲情をもてあまし、いけないことだとわかっているのにやめられない…そんな風に悩む姿が大変色っぽくて、フェチズムとエロに定評のある赤星先生の本領発揮といった感じで、読み応えがあります。もともと兄弟ものが好きなのもありますが、そういった思春期の心の揺れ動きやすれ違いがよく伝わってきて、雰囲気があって好きな作品です。シリアスな設定ですが、合間にちょこちょこ出てくる沿の可愛さなどコメディタッチなところもあるので、そんなに重すぎるわけでもなく、ハッピーエンドで終わるので読後感は良かったです。兄弟の周りの大人もいい人ばかりで、特に要と沿の母親の考え方が素敵で印象に残りました。色眼鏡をかけずに受け入れてくれる、こういう親がいてくれたら子供は幸せだろうなあと思います。
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