このレビューはネタバレを含みます▼
年間1万人とも3万人とも言われる日本の自死を含めた死亡者数。一人亡くなったその裏側で何倍もの人が苦しみ、弱っている人に貪ろうとしたりマウンテンしようとする奴らが何倍もいる。日本は死んで責任を取る事を美学に感じる文化があります。けれど実際は死んだ人間が何かしているわけではない。家族や周囲の人間が後始末しているんです。この本を読むとそれがよくわかる。善意ばかりでない世の中なのはよくわかっていたつもりだったけど、衝撃でした。
法律や情を盾に金銭や心までも貪ろうとする内実をわかりやすく表現しています。遺品整理すると相続放棄できないとか、不動産屋が部屋に不法侵入して勝手に人の通帳操作するとか、恐ろしくも重要なことを教えてくれました。しかし大切な資産を台無しにされた大家の気持ちもわかる、結構大家も損をしてる。浮気して離婚が決定した夫の後始末に関わりたくない妹さんの気持ちもわかる。傷つけられて立ち直れないまま周囲の目に晒されて。でも噂好きはそこまで傷つけている自覚はない。
弁護士の支え、家族の支えがなければもっとひどかったろう。世の中、自分がまじめに迷惑かけずに暮らしていればそうそう酷い目に合わないだろうと思っていても足をすくわれるものなんですね。
この本は中学生課題図書にしてもいい作品です。
「かけてもいい、迷惑にならない迷惑」と「絶対かけてならない迷惑」。世間様に迷惑は絶対かけてダメ!では、もう誰もが生きていけない。迷惑かけてかけられても、お互い生きていられるようにしたいですよね。
でも、DJのような子も生きているだけで役に立つんだね。やっぱり生きていなきゃ。