このレビューはネタバレを含みます▼
山の神の声を聞くことができる覡(かんなぎ)と、身体を繋げることで覡に力を与える「ためつもの」の物語。真敷家を頂点とした覡の一族から、主に雨敷家、少しだけ二敷家のお話。独特の世界観で引き込まれました。終始暗く重めの雰囲気だけど、読後感は優しくてよかった。
「土塊」
少し過去のお話。元々よそ者で、数年振りにまた村にやってきた床×二敷家最後の覡・信。ただただ切ない。信の事情や、この時なにが起きたのかは後の話で分かります。床にもなにか救いがあったと思いたい。
「雨敷」
わたるのためつもの・竜×雨敷家の次男・わたる。すれ違ってはいたけど、一番まっとうで健全な二人。
「雨敷2」他4作
ここからすべて雨敷家長男・定用のお話。定用のためつもの・豊×定用。拗れまくった二人の気持ちと関係が解れるまで。覡のこと、ためつもののこと、その役割や関係性など、だいたいのことがこの一連を読んで分かります。尊大で世間知らずで素直じゃない定用だけど、すごく可愛い人だった。この二人よかったなー。熟すまで時間がかかった分、幸せになって欲しいなあ。