連地獄~白薔薇編~
」のレビュー

連地獄~白薔薇編~

伊藤レイヂ

今まで何となく読んでなかったけど

ネタバレ
2019年9月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読んでよかった。凄い読み応えでした。聖隆と麗司、なんて業が深いんだろう。
能楽師の家のお話ですが、本当にお能や歌舞伎の演目にあるような、愛しあう二人がお互いの命を削りあい逆らえない因縁に翻弄されながら、底なし沼にズブズブ沈んでいくような話しでした。
途中までは心中物のようでとても耽美ですが、聖隆が(ある意味で)裏切ってからの後半は、麗司くんがいかにして底なし沼をもがき這い上がるのかを描いており、もはやBLではないかもです。前半とは打って変わって逞しく生きる麗司くん、闇堕ち感が凄いですが素敵です。
『連地獄』のタイトル通り、妻にとり殺された父から麗司くんも呪いを受け継いでしまったかたちで、もしかして麗司くんも父にとり殺されちゃうのかな…?と思ったけど、そうはならなかったですね。
大切なものを色々失い決してハッピーエンドではないと思いますが、それでも過去の健気で純粋な自分を葬る代わりに、自力で人生を取り戻したいいエンドですね。
どうしても最終話の1番最後のページ、グロテスクながらも温かく美しい2人のカット…ゾクッと来てしまいます。
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