恋のめまい愛の傷
」のレビュー

恋のめまい愛の傷

一条ゆかり

極上の恋愛小説! 色褪せない感動

ネタバレ
2019年11月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 一条先生の作品は、小学生の頃から読んでいます。どの作品も登場人物の心情が神技のような画力とセリフで綴られ、ストーリーも全く無駄無く、有無を言わさず引き込んでゆきます。この作品は未読で今回初めて読みましたが、ラストでヒロインと琳が愛を確かめるシーンは涙が溢れ、読後はしばらくの間物語世界から抜け出せませんでした。一条作品のヒロインはいつも真剣に愛し、悩み、迷い、凛としています。それゆえに、こんな素敵な兄弟から愛されても納得できます。また、この作品が発表されたのが1995年なのに、全然色褪せてない事にもビックリしています。スマホが登場せず留守電が使用されてるところ等、細部に時代を感じさせるところがあり、それがかえって時代を経ても変わらない人間の複雑な感情をうきたたせています。私にとって、このレベルの感動を与えてくれるのは、一条先生と萩尾望都先生、山岸涼子先生ぐらいしかありません。やっぱり、この方達は別格、唯一無二の存在だと思い知らされました。
 ただ、感動の弊害として、しばらくの間、他の作者の作品を読んでも、シラケてしまうことです。「愛してる」という言葉の重みの何と違うことか!人間のとらえ方のレベルが異次元レベルに違いすぎます。
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