このレビューはネタバレを含みます▼
う~ん。この作者の他の作品はすごく好きだったのですが、これは色んな意味で受け入れられませんでした。
不自然さのオンパレード。
何より、現代設定で、「同性愛者」の存在を知らないはずないだろう!?と思いました。
自分がイジメられた時に助けてくれた大切な友達に、恋情を打ち明けられて、「男なのにあり得ない」とか「不自然だ」とか、あんまりじゃないだろうか。からかわれたと誤解するのはあるとしても、出てきた言葉が人としてどうなの?と思いました。断るにしてももっと心ある言葉ですべきではないのだろうかと、不愉快でした。
メルヘン好きという設定なのかもしれないけれど、深刻なシーンでポエムっぽすぎる思考だと、自分に酔っているだけに感じられてしまうし、相手が住んでいる上階の部屋との距離を表現するのに、「(4メートル弱の天井は)地球で見れば1周分」ってあるけど、おかしいよね?「1メートル=地球一周の4000万分の1」を持ち出したのだろうけれど、倍率取っ払って書いたら、どれだけの天井?ってなると思うんだけど……。地球で見ても4メートルは4メートルでは?と。
振った相手の双子の姉に相談することも悪いことのように書かれているけれど姉とも親友だったのなら、別に相談くらいしても良いのではないかと思うし、ぶつかっただけの見ず知らずの女性と夜の公園で打ち明け話する流れも突飛に感じました。女性ではなくて、男装の女性とか、女装の男性とか、人と違っても自分らしく生きようとしている人と出会って意見を聞く……と言う方がまだ良かったように感じました。
何より、この女性が、セリフも動きもなんか、演劇みたいに大げさで、おそらく「良いセリフ」のつもりで書かれているんだろうな~という彼女の言葉が私には響かなくて、白けてしまいました。
波長が合わなかったんでしょうね。ここまで波長が合わないというのもあまりないのですが、残念でした。好みの問題なのでしょうけど……。
メルヘン好きの設定を強調したかったのか、全体的に戯曲のような構成にしたかったのか……。これをもって作者の評価をさげようとは思いませんが、この作品とは気が合いませんでした(^^;)
惚れこんでいる作品もあるので、また別の作品を読んでみようと思います。