恐るべきは 恐れそのもの





2019年12月16日
ヒロイン メロディーのアイデンティティは崩壊した。彼女を奮い立たせていた ものは、事故によって呆気なく失ってしまった。夫である業界の大物 辣腕精鋭で愛するヒーロー ジーク に相応しい女性と 誰からも称賛される者で居られないことを理由に姿を消そうと決心する姿は、とても哀れだ。ショービジネスという世界においては、彼女の悲嘆は十分理解できるが、それをさせまいと ヒーローの献身が 素晴らしく 私に喜びをもたらした。差し挟まれる過去の 彼に相応しくあろうとする彼女の努力には 可愛らしさが滲み出ていて、ヒーローを夢中にさせるに納得する展開が、より一層立ち直りの未来を 懇願させる作りになっていて、私も祈っていた。しかし、主軸となる事象の部分以外は スッパリと割愛されていて、物語としては薄っぺらさを感じずにはいられない。ヒロインの業界での評価や立ち位置、ヒーローの具体的な手腕といった背景が全く無い事が原因と思われ、呆気なさは否めない。けれども、お互いの一途さは 溢れるほどに描かれているので 2人の人生のほんの一部の葛藤期 という読み方ならば 十二分に楽しめるものとなっていた。

いいねしたユーザ1人
-
コンビニ さん
(女性/60代~) 総レビュー数:94件