国王と寵愛なき愛人
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国王と寵愛なき愛人

タラ・パミー/渡辺直美

苛政な現実とロマンスの間での葛藤

2019年12月20日
もしも、シークの継承者が1人しかいなかったら・・・、というお話です。現実には、何人もの妻がいらっしゃるわけですから、付随するお子様たちも た~くさん おいでになるので、あり得ない話なんですが。もっと、いうならば こうなったのは前王、父王の仕出かしたことの尻拭いを 妾腹の息子がするというお話。ザフィルからすれば、俺を何だと思っているのだ!と嘆くところ でもその時期はとうに過ぎていたのですね。逃亡生活の中で出会ったヒロインを愛していても 正妃には出来ないと 端から分かっていたから捨ててきた。けれど、相手には 強い意思があったことが、ザフィルの誤算。おまけに、そのことをネタに ダハブ族族長に意趣返しされてしまった。というように、トントン拍子で、心情吐露も成し得ていて良い展開で面白い。政治風景も お約束枠内で、重くは無いし、族長のキャラも冷静で穏やかな作りが、「戦い」ではなく「会話」によって導かれる 和解の道筋を、融和を見せてくれていて 穏やかな息遣いと共に読み終えた。
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