御伽
」のレビュー

御伽

琥狗ハヤテ

メッセージ性のあるハイクオリティな短編集

ネタバレ
2019年12月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ まずクーポンやセールやってたら間違いなく買いです。自分はクーポンで買いましたが、定価で買っても良かったなと思いました。和物のお伽話5編+巻末に4コマで構成されています。
●碧き風の詩…陶芸家×山の土産神。しょっぱなから泣ける…。これを最初にもってくる作者さん?編集さん?のセンス…お見事です。人と自然の共存の素晴らしさ、難しさ、美しい自己犠牲を描いたお話。
●海底まで…サメの不知火×漁師ナギ。不知火がいて漁が出来ず死活状態の村人を救う為、おとりとなったナギ。不知火を殺してはいけない為、形だけ戦っていたが、ある時別個体の獰猛なサメに襲われ…。耽美だけど可愛いお話。
●きつねのうどん…豆腐屋×うどん屋の狐。可愛くて美味しくて温かいお話。みんな良い人で優しい世界。
●燕丸…侍×妖刀。刀の手入れ=愛撫になるのは面白かった。結末は悲しいけど、作者さんの言葉選びが巧みで「上手いなー」と納得いく終わり方でした。
●龍の秘薬…龍神×帝の従者。従者の見た目がザ・モブですが、あとがきを読むとその理由も納得。無欲であれ、誠実であれという教訓的なお話。
全体的に自然と人間の関わり合いを描いたものが多く、どの話もメッセージ性がはっきりしていてとても読み応えがあります。雰囲気は蟲師っぽいですが、決して似ている訳ではなく、BL要素と骨太ながら色気のある絵で、しっかりとオリジナリティがあります。
自分は、動物×人間が好きなのと褌がエロかったので「海底まで」が一番好きでしたが、他の話も本当に素晴らしかったです。掲載順も緩急あって良かった。Hは多くないですが、内容重視の作品ばかりでとても充実した一冊でした。最後の4コマもとっても可愛いかったです。全182p。
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