灰の月
」のレビュー

灰の月

木原音瀬/梨とりこ

想いが通じ合うということ

ネタバレ
2020年1月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 月に笑う を読了後、こちらも上下巻一気に読みました。月に笑うに出ていた惣一のした事を思うと、ハッピーエンドはありえないんだろうと覚悟して読みましたが、さすがこのはらワールド。胸をえぐります。過去作品色々読みましたが、これほど痛みつけられ報われず、結局愛の言葉一つ囁かれないBLがありましたでしょうか。これが想いが通じ合うという事…???この作品を基準とすると、今まで読んだBLは以心伝心テレパシー並みに通じ合ってたって事になりますね…。最終的にある意味惣一の望みが叶ったと言えるでしょう。その望みを叶える為に自分の全てを失ったと言っても過言じゃない。これが惣一視点の話であれば吐いてました。それくらい壮絶で、嘉藤視点でよかったとつくづく思います。攻め視点でよかったと思える作品は他にはありません。
BL的には嘉藤はひどい男に見えるかもしれません。盲信して執着するくせに、好きではない??抱ける、欲望も覚える。居ないと生きていけないけど、好きではない???何言ってるんだろうと思ったけれど、確かに自分の価値観を曲げられないのはどうしようもない。寝れると愛せるは別問題。嘉藤の価値観を壊す代償は、惣一の心だったって思うと……涙が止まりません。
確かにこれも一つのハッピーエンドなのか…???月に笑うで惣一がした事考えれば因果応報、幸せにはなれないと思ってましたが、代償が大き過ぎませんかね……そのうち嘉藤がアメリカ行き引き留めた事を後悔したりする日も来るんですかね???それでもやっぱり手放せないんでしょうね…あの執着が愛でないのなら、一体なんなのか…タチが悪い…
惣一の不幸と幸福どちらとも嘉藤から与えられてるものなんですね……他人から見たら不憫で不幸でも、惣一は幸福なんですよね…久しぶりに引き込まれ過ぎる作品に出会い、文句タラタラの★5です。
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