エーゲ海の独身貴族
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エーゲ海の独身貴族

レベッカ・ウインターズ/ハザマ紅実

オズの魔法使いを思わせる竜巻がもたらした

2020年1月11日
何回も登場の港の景色は写真ですか?扉絵でもう初っぱなから、わぉ素敵と思いましたが。
しっかり描かれた絵に丁寧さを感じました。
所々会話に入って来る地名や料理名が旅情を誘います。
HQではギリシア男性がパターン化されたような言われようをされているため、よくある感じかなと思っていました。本作は、ギリシア男といえば、みたいな紋切り型の出発点はなく、プレイボーイと言われているのに、一人の意外な位純朴な男性の、ヒロインの愛を乞う姿が描かれていました。ヒロインの「この人はやることがプレイボーイなのに誠実さが伝わってくる」というニコロス評がマンガで表現されていたと思います。その二人の恋愛感情の進行は、ヒロインの抑制を時折挟みながらも先に繋がって行き、あれという間に、より未来未来へと繋がるスピーディーな展開を見せます。今のお互いを形作ることになったそれぞれの過去を知って、赤ちゃんへ寄せる並々ならぬ愛情がよく判るし、一人助かったデミちゃんが無事に育つよう一族総出で取り組む描写にも絆されます。
キューピッドのケリーが前半登場なだけなのが、後半欠場の理由を知らされても尚心残りです。
最後になってデミちゃんが女の子と知りました。「突然の赤ちゃん」が恐怖の幼児記憶から完全脱出しますように。


動力で動かされるクルーザーに人が泳いで追いつこうとするのは、状況から気持ちはよく分かるけれど無謀です。下山時もそうですが、慌てんぼキャラだったのでしょうか。彼もかなりコメディ入っています。
ただ、彼がそうであるなら、男性的な体つきでは(ホルモンの関係で)なくなってしまうのでは?、とは思います。

土地の料理を楽しむという目的で二人が入ったレストランが、私自身がギリシア旅行で入ったのととても似ており、装飾的な扉だとか雰囲気が同じです。ハザマ先生は、レストランならどこでも同じでしょう、という姿勢ではない、つまり、レストランといえど雑に扱って描いていない、というのがよくわかります。驚きました。
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