冷たいボスの熱いキス
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冷たいボスの熱いキス

バーバラ・ウォレス/荻丸雅子

冷たいボスの深層心理は?

ネタバレ
2020年1月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「苦手だな 小さい町の濃い人付き合いは」「彼女が隣に居れば出来そうな気がする」このセリフを読んでボスであるヒーローチャールズがヒロインリズに惹かれていっているのは分かる。しかし、知り合いが皆無で、親しく会話できるのは彼女だけという状況下で、これは恋なのか?という疑問は拭えなかった。彼女にしてみても、息子の進学費用、暖房の故障という切羽詰まった状況にあって 息子の言う通り 媚びすぎというのは的を射ていると思う。作中から意図したものではないと分かるが、そうして懐柔して良いように持っていこう(持っていけたらいいな)という思いがあるように感じる。だって、昇給してもらいたいのだから。そして流されるヒロイン。気持ちは有るのだから自然なことかもしれないが、後後になって(息子の行動を見るまで)息子の事が後回しされていたことに罪悪感や倫理を持ち出すのは今更に思える。親というのは、いずれは子供も大人になるという事を忘れているものではあるけれど、その時がついに訪れたという構え方が出来たらと思う。子供相手でも、その事象毎に対応に善悪がひっくり返るという事が有ると納得させたいのだ。彼女にしてみれば愛情よりも生活資金という概念は表面化していて揺るぎない。そこには女性としての自信の欠落にあるのは分かるが 自分ばかりを正当化して息子の前に立っていようとするその態度にイラつきを覚えて楽しめない。チャールズにしてみても、1度しか会った事の無い父親にこれほどまでに感情を揺さぶられるものだろうか?子供の頃に1度会った時 スタジアムからの帰りに渡された絵本がかなり効果を期待した作りになっているが、私にはそれほどに思えない。前社長は社員にとってもリズにとっても父親の様な存在だったのはとても良く分かる。その恩に報いるため 自分の為、息子のため一念発起した努力も分かる。そういう優しい(お人よし)部分にチャールズは優しくしてくれてありがとう=愛情へのスタンスに引き込まれなかった。
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