百日の薔薇
」のレビュー

百日の薔薇

稲荷家房之介

交錯する

2009年7月2日

目下荒れる戦地に、過去の美しい記憶が散りばめられる。
薫るように美しくストイックなタキに、狂犬のようにクラウスは激しく迫る。

以下、ネタバレ的感想。




ふたりは過去に二度の運命的出逢いをし、現在に至っている。
二度目の出逢い、成長したふたり。日々の戦火からタキを護るためクラウスは文字通りタキのナイトとなる。

タキは自分からクラウスに触れても、クラウスから自分に触れる無礼を許さない。
ベッドの上でカラダを蹂躙されても、鳴き声もあげず心も許さない。

「先に欲しがったのは、お前だ。」クラウスの悲痛な叫びに、「許せ…」としか答えられないタキ。

多くを語らないタキ。
夢のように美しい思い出と、彼らを取り巻く人々によって、タキの心が見えてくる…。


読んでいて、もう何度胸が苦しくなったことか!!

戦場では冷静な姿を見せ、ベッドでは欲情に翻弄される。
愛を愛として伝えることの叶わない時代の、美しく切なく、このうえなく淫らな作品でした。

今年の配信作品、今のところダントツ1位の超お気に入り作品です!!!

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