このレビューはネタバレを含みます▼
とてもドラマチックで、恋の行方もライトなミステリーも右往左往し楽しませてくれました。絵も綺麗だし、自分の好きな人が自分をこれでもかというくらい好きでいてくれるという設定は、自己投影して読む少女漫画としては王道中の王道かも。人気が出るのも納得です。しかし、、、最終巻はドラマをはしょりすぎで不完全燃焼。どうやって大門を抜け出すのか、という一番の困難が後日談で語られたのは残念。ここまで巻数を引っ張っただけに、最後の苦労も二人の喜びもきちんと描いて欲しかった。次に、主人公カップル以外は幸せになれていないのも私には残念だった。利一は、最後まで個人としての主体的な幸せを考える機会すらなかった。滅私奉公や忠義忠孝という史実に存在した価値観には沿うかもしれないけれど、私にはそれが美談とは思えなかった。肝心の主人公の恋についても、相手が自分を好きでいてくれるということが、一貫して最重要点であるように描かれていたのは、幼く感じた。少しモヤモヤしたけれど、楽しい読書だった。