古城が呼ぶ愛
」のレビュー

古城が呼ぶ愛

レベッカ・ウインターズ/松尾しより

毒のある言葉を耳に入れるのも吐くのも罪

ネタバレ
2020年3月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ イケず後家の伯母が撒き散らした僻みと妄想の毒種が、芽を出しつる草となって 彼女と両家の人々をからめとっていた。このつる草は、家族愛がある者にこそ有効で縛られる。しかし、祖母アイリーンは愛という種をヒロインローラに埋め込み20年後に花開いた。祖母の命と引き換えるかのように。この作品自体がお伽噺とも少女漫画ともいえる風味で練り上げられ 所々には意味の無いコマの存在が意気消沈させるが、背景等作画はなかなか力作。疑問点もあるのだが、捉え方によってはのろのろとした進展、でも着実に心の進展が描かれていると言える。ヒーローニックとローラの恋なのに祖母の恋愛が色濃すぎて今一つ焦点が絞り切れていなくてP128なのに長々とした印象を受けるのが残念。だからこそ、ニック妻の話が削げなかったのだと理解できるが、物思いの深さ辛さが削がれ過ぎていてこちらに伝わりづらく ただのババコン孫達の奮闘にしか見えず歯がゆい気持ち。だが、P99の進めたい関係を進められない2人の葛藤と決断の場面がとても好き。この場面があったので星を+1して4.5というところ。情熱を色濃く読みたい人には物足りないと思うが、愛する人の助け手になりたい物語りを好む人にはお勧め作品となると思う。
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