このレビューはネタバレを含みます▼
千秋の境遇に同情はするものの、あまりに腹黒すぎて計算高すぎて1巻はまるでいたいけな子ウサギをいたぶる狡猾ギツネという構図でしたが、2巻を読み終え印象が変わりました。侑央を想う気持ちだけは本物で、ずる賢さは優しさや強さの裏返しなのだと感じました。特に上京するバス中から侑央を見送るシーンは感極まりました。2巻の「ユキウサギ」を先に読んでから1巻を読んだ方がより千秋の気持ちに寄り添えるような気がします。京町家の落ち着いた佇まいや着物や小物遣いの繊細な描写、そして2人の話す京言葉が相まって終始しっとりと色気のあるお話でした。