茉莉花官吏伝~後宮女官、気まぐれ皇帝に見初められ~
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茉莉花官吏伝~後宮女官、気まぐれ皇帝に見初められ~

高瀬わか/石田リンネ

天才的な記憶能力を持つ主人公

2020年3月21日
こういう中華モノで女性が官吏を目指すお話は面白いものが多いので、今作も例に漏れず絶対に面白い!と期待して読んだのですが、期待しすぎた感がしました。

サクサク読めるので、それが良いところでもあり、ガッカリなところでもあるのです。
端的に言うと、「活躍しました」で終わっている印象。どのように活躍したのかが、事細かに読みたかったのに。

1巻目はまだ導入部分なので、これから面白くなるんだろうな〜とワクワク、期待を持って読んでいました。
でも2巻目を読んで、そうでもなかったんだなと思いました。

官吏登用試験を受けることになった茉莉花は、最初は成績が芳しくなかったのですが、珀陽さまに励まされたり、子星さまに勉強を見てもらって結局あっさり試験を突破します。
本人達にとってはあっさりではなかったのかもしれませんが…そんなに苦労して頑張るような描写はなかったように思います。
あったのかもしれませんが、伝わってこなかった。
そんなわけで、茉莉花は天才なので難関試験受かりました〜ハイ次のお話に行きましょう!ってサクサクすっ飛ばされてる感がしてしまって、物語に全くのめり込めません。

そもそも、かつて首席合格していて現在皇帝の側近をしている子星さまに手取り足取り教えてもらえるっていうのが、ズルい環境にあるよなと思ってしまいました。
そんなの、他の受験者も皆教わりたいですよね…。

でも作中の描写で、結局教わったことといえば「視点を変えて見ろ」ってことしか分かりませんでした。
それなら、付きっきりで教わったのではなく、ヒントとしてそれのみ聞いていたという方が、その言葉だけをヒントに茉莉花自身が答えを導き出したことになって面白かったと思います。

茉莉花のことを周りは天才だと言いますが、本当にただ「天才」なだけなんですよね。
読んでいて読者目線で「この子凄いな、魅力的だな」って思うような描写がいまいち欠けているように感じました。
ただの天才を見ても別に面白くないものなんですね。

「1度で覚えれるだけ、それが何か?」みたいな態度見てても、凄いとは思わないです。ただ単にイラッとしました。
そのわりに、天才と言われることには慣れているようで、その後に続く期待を裏切ることに怯える彼女。
お淑やかなわりに根は傲慢で、そんな所が感情移入しづらい主人公でした。

でも続きは気になるので読みます。
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