離れないでいて
」のレビュー

離れないでいて

アン・メイジャー/宮花みん

ヒロインが微妙

ネタバレ
2020年3月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 半額時に漫画家さん買い。
ヒーロー弟が酷いのは当然として、ヒロインもあまり好きになれない。
金銭目当てではないが、上流階級への憧れや家庭を持ちたいというある種の打算からヒーロー弟と婚約していたヒロイン。恋愛感情ではなかったと自分でも薄々気づいており、結婚に迷う。迷うのはいいとして、島に流れ着いた見ず知らずのヒーローに一目惚れして、あっさり寝る。この時点で、気持ちの決着はついているのに、ヒーローとの子供ができて、ヒーローと結ばれないようだと知ると、気持ちのない弟の誘いにあっさり乗って、弟との結婚を選ぶ。その選択は、最初に弟と婚約したときのように打算にしか見えない。
ほかのハーレクインではこういう場合、シングルマザーを選ぶヒロインが多いだけに、ケータリング業者を運営しているようなヒロインが、子供の実父となるヒーロー本人と全く交渉を試みようとせずに弟に逃げたのは残念。取り方によってはヒーローと寝たのすら、結婚への迷いから安易な道に逃げたようにも見える。
ヒーローも微妙だ。弟との結婚を反対していたくせに、ちょっと助けられて会話しただけであっさりヒロインに惚れて手を出すのは兄として人としてどうなのか。また、結ばれた翌日伝言もなくヒロインの元を去るのは、作者都合だろうが、いささか苦しい。あれだけの別荘に使用人が全くいないとは思えないので、手紙を書く時間はなくても、使用人に伝言を残せば済んだと思うのだが。
それから、ヒーローがヒロインへの大事な伝言を、よりによってヒロインの婚約者だった弟に託すというのも、ヒーローの空気の読めなさが目についた。作中では弟が兄を妬んでいたから最悪の事態になっているように書かれていたが、仮に兄弟仲がよかったとしても、兄に婚約者を寝取られて、その婚約者への愛の伝書鳩の役割を振られたら、まともに伝える気になるだろうか。私なら無理だ。
そんな感じで前半の話の作りが酷くて、ヒロインにもヒーローにも良感情を抱きにくく、後半の展開にも入り込みにくかった。
後半は後半で、ヒーローは過去の自分を反省してマシになったが、ヒロインはヒーローと結婚したあとに急にうじうじしはじめて、結婚したのに何を今更、腹を決めろと思ってしまったり、最後までヒロインを好きになれなかった。
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