幻の砂の都~囚われの花嫁~
」のレビュー

幻の砂の都~囚われの花嫁~

さちみりほ

ロマンスは薄い

ネタバレ
2020年3月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 値引き時に作者買い。
この作者のオリジナルはあたりハズレというか、ハーレレベルのページ数じゃページが足りてない気分になることが多いのだが、これもそんな印象。

タイトルやあらすじ、ヒロイン父が語る幻の都を歌った唄など、読者的には都があるのは確定しているがそれをどう出すのか、この案内人がヒーローでどう恋に進展するのかとロマンとロマンス要素に思いを馳せながら読んでいたら、ナレーションがホラーかサスペンスに進みそうなノリに。
あれ? ロマンスレーベルじゃなかったっけ?と疑問に思う間も無く、TVクルーが全滅になりそうな思わぬ展開にハラハラ。
そういう意味では前半の方が展開が読みにくくて面白かったのだが、後半はヒロインが心を閉ざしてしまうのもあって、屋内に閉じこもってしまい、結果都の描写も減って盛り上がりに欠けてしまった感じに。
それまでの状況を思うとヒロインが心閉ざすのもしょうがないけど、オチを見ると、ちゃんとヒーローが説明してやればヒロインもああならずに都に定住もあり得たのではと思わなくもない。

読んでで感じていたことは、作者本人が後書きで全部語っていて、本人も書きたいテーマではあったがうまく扱いきれなかった自覚があるもよう。作者がそれでは読者が物足りなくなってしまうのも当然か。
都の設定は、あんなところに都があるのはファンタジーではあるが、閉鎖社会の問題の対処とか割と考えてあって面白かったので、都のパートを街中の描写も含めてもうちょっと読みたかったかな。
個人的に、ヒロイン父があのネックレスの石をどうやって手に入れたかの説明がなかったのが残念。
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