プルメリアに誓う恋
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プルメリアに誓う恋

ジュディ・クリスンベリ/高山繭

神様じゃなく守ってくれる父親が欲しかった

ネタバレ
2020年3月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ そもそもダン夫婦が、なぜ拗れてシェルビー母がアルコール依存になったか明確ではない。諸不幸の起因は彼女であるが、ダンは親権こそ得られなかったとはいえ 近隣に住まうことは出来たはずなのにハワイという遠隔地に居住したのは何故か。諸々の背景の諸事情を読み手にお人好し傾向で読ませようとしているようで、何だかズルイと思えて憤る。ダンは、本来父親として担わなければならないモノを、立場を当時14歳の義妹ケイに挿げ替えて逃亡の理由は何なのか。ケイは、少なくとも作中にあったシェルビー14歳での重大事には父親の下へ逃がすべきだったのにそれをしなかったのは、姉と復縁させたくない彼女の嫉妬。全てが彼女の策略でないのは分かり切ったことだが、「恨むならわたしのほうにして」と認めていて、かなり身に応える辛さが伝わってくる。20年という繋がりが、ケイとダンのハピエンに納得するし、シェルビーが男性不振を克服出来そうだというところでのエンディングもダブル婚になっていないところが、呆気なさ否定で良かったと思える。が、主人公はシェルビーではなくケイになっているように運んでいて、そこにはピートから言わせるべきケイの落ち度があったはずと思えてならない。それがあってこそピートとシェルビーの物語になるのではないかと考えるのだ。
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