嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~
槻影/チーコ
このレビューはネタバレを含みます▼
勘違いに勘違いを重ねて物事を解決していく主人公。ぶっちゃけて言えば、この物語の半分ぐらいはこの主人公の魅力にあります。残りの半分は可哀想なヒロイン達です。試し読みしてどちらかに惹かれたらぜひご一読を。
さてこの主人公、人間としてはただの小物なはずなのですが、物語が始まると不思議や不思議。どんどん彼の言動に惹かれていきます。本質的にはハードボイルドから最も遠いはずなのに、確かに彼は(彼自身が思うのとは全く違う方向で)ハードボイルドで英雄なのでした。それが最も感じられたのは4巻最後。「ないよ」と語った彼は、その瞬間、確かに可哀想なヒロインにとっての英雄でした。本人からすれば、事実を言っただけなのですが。
ギャグに塗れた物語なのですが、一抹の寂しさが見え隠れします。価値観が隔絶していて、主人公は誰からも理解されません。親友達、あるいはヒロイン達ですら彼を理解できません。だからこそ、表題にもある言葉を彼は懲りずに口にするのでしょう。それが誰からも理解されないとしても。
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