禁断の芽ばえ
」のレビュー

禁断の芽ばえ

ダイアナ・ハミルトン/浦川まさる

根拠が薄くて御座なり

2020年4月22日
姉の光が強すぎて妹(ヒロイン)の影が濃すぎる冒頭。何よりもヒロイン自身が思い込みの罠にはまって抜け出せていないのがよく分かる。しかし、何かを自分の手で成し遂げたいとロンドンで転職するも、その目的を何に託しているのかが何も無くて違和感が湧く。そのきっかけをヒーローとわかりはするけれど、決意表明を何かしら具体的に見せてほしい。例えるなら、嫌っていた自分の髪をショートボブくらいには切ってみるとかそういうものを見せてほしかったと思う。また、目的があっての転職でないのでズブの素人がただ頑張るというだけでは成長するのは当たり前で、レベルに問題がある。ヒーローも見かけただけのヒロインを姉をきっかけにして懐柔しようとするあたり、偶然の再会ではないところにも違和感がある。金にモノをいわせてグイグイ押してくるあたりはトキメキ要素をそこに置いているのだろうが、所詮見た目だけに惹かれた女性を確かめるための術を繰り出したにすぎず白けてくる。可愛い子供には旅をさせよとはいうが、ヒーローはお父さんじゃないのでもっと情熱を読み手側に伝えてほしいと思うのだ。彼女の成長のためにではなくて、家族から引き離せば自分にとって手が出しやすいと受け取れて、行動がテレンコで不快なのだ。前述したが、嫌っていた髪を切らなかったヒロインが、整えてもいない髪を振り乱し、チャレンジしている職の為に奔走するのは認めるが、そこでヒーローからだけは認めてもらっていた髪に固執している時点で先読み出来すぎて、興味も好奇心も削ぎ落しながらの読書となった。
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