恋ひうた~和泉式部 異聞
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恋ひうた~和泉式部 異聞

江平洋巳

予想を裏切る質の高さ

2020年4月24日
平安時代を題材にした作品は数多くありますが、大和和紀の「あさきゆめみし」、岡野玲子「陰陽師」など一部を除けば、壮大な原作を1、2巻に押し込んだり、時代考証もいい加減な三流作品ばかりというイメージでした。この話も正直全く期待はしていなくて、どうせ和泉式部の生涯を足早になぞる学習マンガのような作品だろうと思っていました。
でも、その期待はいい意味で裏切られました。絵もしっかりしているし、和泉式部への愛を感じました。実在の人物だけに、これまでの漫画に登場する和泉式部像は歴史上の評価の枠に囚われ過ぎていたと思います。紫式部、清少納言に比べて残した作品がマイナーなところから来るモブ感。2人の皇子と浮名を流したスキャンダルが有名なための色モノ感。そういう偏見から離れたことで、こんなにも魅力的なストーリーになるとは…男性陣も素敵です。こんなに素敵に描いてもらって、和泉式部も浮かばれます。
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