このレビューはネタバレを含みます▼
「悪い国の娘」で月煮先生を知り一通り購入したのですが、本当に出会えて良かったと思う作家さんです。平凡主人公でも異世界転移ものでは何かしら報われたりきちんと認められることが定石ですが、サトキは最後の帰還時まで+αの立ち位置でした。
本当に平凡(むしろ地味目)な子が巻き込まれ転移したらこうなるな、と言うリアリティが随所にあります。ドサクサに紛れて気付いたら役目が終わっていたという不完全燃焼なラストがこの作品の主題にとても沿った良いまとめ方でしたし、そんな中でも彼女の見送りを最優先してくれたミーヴァの存在がサトキを主人公として終わらせてくれたように思えます。最後の微笑みと言葉はサトキがこの異世界転移に一番求めていたものだったんじゃないでしょうか。ちなみに「手違いですが~」と言う別作品で少し登場し、ミーヴァの想いが聞けますがその上で読み直すとまた面白いです。
スカッとしたり、主人公が報われるハッピーエンドが好きな方にはもやっとするかもしれません。理不尽でつらいこともある、それでも得たものも確かにある、そんな現実的な異世界転移を読んでみたい方にはおすすめです。
(追記です)この作品が好きな方、「悪い国の娘」の2巻書き下ろしエピローグを読んでほしいです…!