シンデレラ・ウェイトレス
」のレビュー

シンデレラ・ウェイトレス

アリスン・ロバーツ/白井幸子

そこらへんのシンデレラストーリーじゃない

2020年4月30日
「よくやったのよあなたは/生き抜いて成長して/ここにいるのねおめでとう」無料分のこの言葉に心底胸を抉られた気分に陥った。苦境に負けず、生きるとはこういうことだと示すヒロインに憧憬の念を抱いた。生きる=生活の為に金を稼ぐ日常を視点を変えて、それはいつか定住するその場所探しとしている彼女の前向きさに心の底から強さとはこういうものではないかと感じさせられた。読み始めから物凄い吸引力を感じた物語にどっぷりと漬かった。要所要所で書かれるセリフに心ときめき、思わせしめられる。ヒーロー、ヒロインのどちらにも深く感情移入させられて、切なくて苦しいがそこには希望が込められて納得して読み進められた。穴場というビーチ、その夕日それらが良い効果を作っていて彼らの感情がこちら側に遺憾なく、もれなく伝わって作画されていない涙さえこちらに注がれている気分になる。けれど、プリンセスという立ち位置は彼女には役不足なのではとさえ感じてしまう。狭い鳥かごの中だが底は深い、ヒーローの横に立ち彼を支え共に生きていくには彼にとって力強い者であることは間違いないから、共に愛情と理解で切り抜けていけると思える類の無いシンデレラストーリーだった。
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