流浪の月
」のレビュー

流浪の月

凪良ゆう

最後の一行、一言まで染み込んできた

ネタバレ
2020年5月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初から中盤までは更紗の置かれた環境、両親や文との優しい記憶、育児放棄、DV、ネット社会の恐ろしさ、そういった周りを取り囲んでいる環境に、穏やかな幸せや苦しさとか歯痒さ悲しみに渦を巻くようにして呑み込まれました。
終盤にかけては、固定観念を持ってしまう恐ろしさをまざまざと突き付けられました。
特に警察での取り調べの場面での、どうしようもなく話が通じない様子にとても苦しくなりました。
だけど、苦しさとか悲しみだけではなくて、彼の話の章からは、更紗と文の言葉のつかない優しいつながりに、とてもあたたかい気持ちにもさせてくれます。胸を締め付けられました。
読後には、言葉にできない余韻が優しく鋭く残りました。
この作品を読めて本当によかった!優しさって何なのか、人とのつながりは何なのか、ちゃんと立ち止まって考えていきたいです。
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