このレビューはネタバレを含みます▼
3巻まで読了。好きな女子をついつい苛めてしまうのは、小学生男児のほとんどが通る道だと思う。目の前で女の子が乱暴されている様子を何も出来ず遠巻きに眺めている男子が、口では「やめてくれぇ!」と叫んでいても下半身は猛烈に興奮していた、というくだりは、エロい漫画の定番となっている。好きな女子を強引に犯したり、好きな女子が寝取られる姿を妄想して性的興奮を覚えるというのは、男なら多少なりとも共感できるのではないだろうか。本作の主人公は、想い人が傷付いたり傷付けられたりする姿に興奮する。僕は主人公を特別おかしいとは思わない。特にエロい盛りの中高生男子なら、倫理的に大問題だと分かっていても、興奮が勝ってしまうのは有り得る話だと思う。自分の性癖を受け入れることができず、普通になりたいと願い、それが叶わずに苦悶するというのも、青少年なら大なり小なり経験することだろう。個人的には、ヒロインに暴力を振るうことなく、漫画を描いて気持ちを発散する方法は平和的かつ合理的だと思うが、本人からすれば妄想を漫画という形にすることで、自分の異常性をより強く自覚することになるため、自己嫌悪で苦悩するのは当然だろう。描いた漫画を捨てられない気持ちも、何となく分かる。どんな悪感情だろうと、自分の気持ちを否定したくないんだよな。この作品の主要キャラクター達は、端的に言えば「超がつくほどのド変態」なのだが、言動が相応に説得力を感じさせるものになっているため、親近感・愛着を覚えてしまう。今後の展開は読めないが、主人公が救済される結末を希望する。