このレビューはネタバレを含みます▼
外界から閉ざされた孤島で、神の花嫁になるべくあらゆる穢れから、遠ざけられてひたすら祈るだけの人生……それが幸せだと思い込まされていたヒロインでしたが、ただ一つの心揺さぶる想いが秘められていました♪まだ幼い頃の約束……きっと、君を迎えに来るよ……そう言って別れたのは、巡礼の為航海途中に疫病の蔓延で瀕死の状態で島に漂流した幼き頃のヒーローです。一度は腐敗しきった神官達に見殺しにされかけたものの、自由のない中、人目を謀ってまで必死に看病してくれた美しいヒロインのお陰で命を繋いだヒーローが、彼女に恋に堕ちるのは運命だったのでしょう。……月日は流れ権力の座に就いたヒーローは約束通り迎えに行きます…正しくは救いに来たのです。奪うように連れ去られたヒロインは外界に触れ、初めて祈るだけでは人は救えない、万人の飢えは救えないのだと、己の無知を悟ります。と、同時に万人を愛する博愛よりも、たった一人の為に生きて愛する事を知るのです♪……そんな矢先、追っ手が!!唯一ヒロインが心を寄せていた神官、マリノスです。彼の愛は狂気、穢れなき者を作り出しそして壊す……対極に在るものをどちらも欲するなんて…やっぱり狂気ですよね。そして狂気はそれだけにとどまらず、長きにわたりヒロインに中毒性のある実を与え続けていたのです!…それは遠からず死に至る毒性のものだと言い残し、闘いの後に生死不明のまま消え去ります。……絶望、そんな言葉が二人に過りますが、愛を知ったヒロインは生きる事を諦めませんでした♪二人三脚で根気よく治療を続けて、結婚にこぎ着けます!……神様を信じる事は救いなのでしょうが、大切な人を信じる事の方が温かくて強くなれる気がします(*^_^*)博愛よりも執着の方がずっと人間味ありますよね(笑)……マリノスの言った、万人から祈りを捧げられている神の方が寧ろ愛を求めている存在だ、という言葉がどこか哀しくて印象的でした。